ボクらは自由な大学生を謳歌する

現役大学生ブロガー/フリーライター「superwriter」/スポンサー募集中/お問い合わせ→http://www.superwriter.net/accses

〈上橋菜穂子インデックス〉『闇の守り人』ストーリー(ネタバレ)

こちらは上橋菜穂子ファンによる、『闇の守り人』解説ページです。

 

『闇の守り人』ストーリー(ネタバレ)

こちらの記事では、『闇の守り人』ストーリーのネタバレをしています。

ネタバレしたくない方は、注意してください。

※以下ネタバレ

 

序章

前作『精霊の守り人』で、新ヨゴ皇国の皇太子チャグムを救ったバルサは、自分の過去に向き合うことを決心する。

 

六歳の時、まだ少女だったバルサが、どうして養父ジグロとカンバルから逃げなくてはならなくなったのか? カンバル王国に秘められた陰謀とは何だったのか? それらを明らかにするために、バルサは、あの日カンバルから逃げる時に通ったのと同じ洞窟の前で、過去に立ち向かうことを決める。

 

第一章 闇の底に眠っていたもの

1.ヒョウル〈闇の守り人〉

カンバルへの洞窟には、ヒョウル〈闇の守り人〉がいて、いたずらや肝試しに入った子供たちを喰うという言い伝えがあった。実際に洞窟に入ったきり帰ってこない子供たちが毎年いた。しかしその実情は、無数に枝分かれした真っ暗な洞窟の中で迷い、水路に足を取られて流されてしまったというものであるとされていた。

 

そんな洞窟を、ジグロの遺した道筋を頼りにカンバルへと抜けているバルサは、突如洞窟中に響き渡る悲鳴を聞く。咄嗟にバルサは、悲鳴のした枝道の方へ飛び込むと、そこにはまだ十代の少年と、その妹と見られる少女がいた。しかしそこにいたのは彼らだけではなく、青白く光るヒョウル〈闇の守り人〉もいたのである。

 

突然ヒョウル〈闇の守り人〉と立ち会うことになったバルサは、あふれんばかりの殺気を受けて、ヒョウル〈闇の守り人〉と槍を突き合う。一進一退の攻防を繰り広げると、次第にヒョウル〈闇の守り人〉は動きを止め、闇の中に消えていった。この時バルサとヒョウル〈闇の守り人〉が行ったものこそ、槍使いの最高形態である〈槍舞い〉であった。

 

2.ルイシャ〈青光石〉

バルサが救った少年少女は、ジグロと同じムサ氏族の子供たち〈カッサ〉と〈ジナ〉であった。バルサは彼らに怪しまれたり、変な噂を立てられないように、自分のことを「養父の罪を償う償い行者」であると説明する。バルサがカンバル王家の陰謀に関わっていること、カンバルでは悪者にされているジグロの養い子だということを隠すためだ。カッサとジナに固く口留めしたバルサは、ムサ氏族領で最も大きいラッサル〈市場〉へと向かう。

 

なぜカッサとジナが洞窟に入ったのか。それは彼らの出自と関係がある。彼らは、ムサ氏族長筋の傍系の出身だった。カンバルでは、氏族長筋の血は、男系にしか流れない。そのことに関連して、氏族長筋の跡取りであるシシームにバカにされたのである。それに反発した妹のジナは、洞窟に入った証である白磨石を持ち帰って見せようとしたのだ。

 

しかし、家へ帰る途中、ジナがヒョウル〈闇の守り人〉に襲われた際に落ちてきたものを、カッサに見せた時に、大きな問題が発覚したのである。それは白磨石ではなく、国宝ルイシャ〈青光石〉であったからだ。

 

ルイシャ〈青光石〉は、数十年に一度、地上を治めるカンバル王と、地底を治める山の王の交流がある時に、山の王から送られる国宝であった。ここからカッサとジナは、大きな物語の渦に巻き込まれていくことになる。

 

3.ユーカ叔母の施療院へ

スラ・ラッサルへと向かったバルサは、そこでカンバルの旅に必要なものを買い足し、ヨンサ氏族領に住む叔母のユーカの施療院へと向かう。しかし実際にユーカに会うと、バルサは既に死んでいることにされていたが、バルサは自分にしか知りえないことを語り、ユーカにバルサであることを伝えた。

 

4.〈カンバル王の槍〉

洞窟の中でバルサに助けられたカッサは、ルイシャ〈青光石〉を持ち帰ってきてしまったために、両親に事情を話さざるを得ず、その結果、ムサ氏族長であるカグロと、その弟で〈王の槍〉であるユグロの下へ行くことになった。

 

カッサと父のトンノが事情を説明しているうちに、カグロとユグロの頭の中には様々な疑問が浮かんでいた。バルサが洞窟の内部に詳しいこと、ヒョウル〈闇の守り人〉の性質に詳しいこと、ヒョウル〈闇の守り人〉に勝ったこと、バルサの短槍にカグロとユグロの槍の模様と同じものが刻まれていたこと、すべてを考慮した二人の心には、ある一人の男が浮かんでいた。

 

それは、カグロとユグロの実の兄弟で、バルサの養父ジグロだった。

 

5.陰謀の素顔

ユーカ叔母と話していく中で、バルサは自分が知っていたよりも、カンバル王家の陰謀がねじれていたことを知る。

 

当時のカンバル王ナグルは、次期王のログサムにとって自分の王位継承を邪魔する存在でしかなかった。腹黒いログサムは、ナグル王を毒殺する計画を実行した。その時に使ったのが、バルサの父でナグル王の主治医だったカルナである。カルナは従わないと幼い娘を殺すと脅されていたのだ。そこでカルナは、ひそかに親友のジグロに、バルサを連れて逃げるように頼んだのである。

 

やがてジグロがバルサを連れて逃げると、カルナは証拠隠滅のために殺された。それどころか、ジグロはログサム王の即位に反旗を翻し、カンバル王継承に必要な9人の〈王の槍〉が持つ金の輪を持ち出して逃亡した悪者に仕立て上げられたのだ。

 

しかし実際には、ログサムが隠し持っており、ジグロは濡れ衣を着せられ、国民全体の問題意識をログサムに向かせないようにするための囮にされてしまったのである。

 

それから数年、弟のユグロと出会ったジグロは、ログサムの陰謀など知らず、ユグロに自らの金の輪を託す。それを持ち帰ったユグロは、ログサムが隠し持っていた金の輪と合わせて、まるで逆賊ジグロを倒した英雄であるかのように賞賛されることになる。陰謀には、ユグロも深く関わっていたのだ。

 

第二章 動き出した闇

1.洞窟の石の匂い

ムサ氏族の平和のためになる情報をもたらしたとして、カグロから褒美を受け取ったカッサは、ラッサル〈市場〉で大量のお菓子を買い、幼少期から仲の良い牧童たちのところへ遊びに行った。しかしカッサから漂う牧童たちにしか分からないルイシャ〈青光石〉の匂いから、カッサに降りかかった闇について、牧童の長老トトが指摘する。

 

一方ムサ氏族長の館では、カグロとユグロがバルサについて話していた。話し合いの末、ムサ氏族に不穏な影をもたらすバルサを暗殺することになり、カグロの長男カームと、ムサ氏族の警備長ドムを派遣することになる。

 

2.捕獲隊

ユーカ叔母の下で、バルサはログサムの死後のカンバルの様子を聞いた。英雄となったユグロと、王の権力がやけに増大しているというのだ。しかしそんな日々も長くは続かず、やがてカームとドムがバルサを捕らえにやってきた。バルサは大人し捕まり、ムサ氏族長カグロのところへ連れていかれることになった。

 

3.毒を塗った穂先

カグロの下へ向かう途中、バルサはドムから偶然を装って何度も殺されそうになった。バルサはしばらくそれをあしらっていたが、とうとう山奥でドムとカームと戦闘になる。真っ先に向かってきたドムは、動けぬ身体にしたのだが、カームと向き合っているバルサに向けて、突如ドムが槍を投げた。バルサが避ければカームに当たってしまう。バルサは何とか肩に傷を受けただけで済んだが、その槍の穂先には、猛毒のトガルが塗ってあった。バルサは意識があるうちになんとかカームを気絶させ、山の中を逃げたが、やがてトガルが回り、意識を失った。

 

4.ティティ・ラン〈オコジョを駆る狩人〉

毒にうなされながら目を覚ましたバルサの目の前には、ティティ・ラン〈オコジョを駆る狩人〉がいた。その時、フクロウに襲われそうなティティ・ラン〈オコジョを駆る狩人〉をバルサが助けると、彼はお礼に牧童を呼んで、毒の回ったバルサを助けるように頼んでくれた。こうしてバルサは、消え行く意識の中、牧童に運ばれていった。

 

第三章 〈山の王〉の民

1.王の使者来たる

 ムサ氏族の男たちを集めたユグロは、ジグロの亡霊としたバルサが現れたこと、ドムとカームが闘って負傷したことを、巧妙な嘘を交えながら説明した。すべては闇を公にせずにバルサを葬るためであった。

 

そんな中、ユグロの下に使者が訪れる。それは〈山の底の扉〉が開いたというものだった。これは〈山の王〉からの〈ルイシャ贈りの儀式〉が行われることを意味する。そのためには、氏族民は大量の供物を用意しなければならないし、〈王の槍〉は儀式の準備と、従者を選ばなくてはならない。ユグロは負傷したカームの代わりに自分の長男シシームを従者に選ぶ。従者になるということは、次の〈王の槍〉になることを意味していた。すべては仕組まれた計画だったのだ。

 

2.ジグロのふたりの甥

〈王の槍〉の従者に選ばれなかったカームは、ユグロがひそかに進める計画について考えていた。それは、ジグロの一件で前回の〈ルイシャ贈りの儀式〉に参加した者が全員死んでいたからこそ実行に移せる計画だった。各氏族長すら知らぬ闇の計画。貧しいカンバルのための計画とはいえ、それはあまりにも強欲なものだった。

 

一方カッサとジナは、牧童たちに連れられて、バルサと再会していた。バルサと牧童たちは、ユグロが進める陰謀に気が付き始めており、それを何とかしてムサ氏族の者に伝えられないかと思案していた。そこでカッサたちの名前が挙がったのだった。

 

3.牧童の秘密

突然トト長老に呼び出されたバルサは、ユグロが進めていた計画がとうとう実行されることを知る。そしてトト長老の口から、牧童に関する秘密を教えられる。

 

牧童は元々〈山の王〉の民であった。かつて地上の民がルイシャ〈青光石〉を求めて山の底の王国を占領しようとし、凄惨な争いを繰り広げた。しかしその末に〈山の王〉の真の姿を見た地上の民たちは、自分たちが何を相手にしていたのかに気が付き、〈山の王〉に謝罪した。それを許した〈山の王〉は、数十年に一度、〈ルイシャ贈りの儀式〉を行うことで、地上の民にルイシャ〈青光石〉を送ることにしたのである。

 

牧童は、地上の民が二度と同じ過ちを犯さないように、彼らを監視する役目を担った。そしてユグロが進める計画こそが、山の底の王国に攻め入り、ルイシャ〈青光石〉を奪い取るというものだったのだ。

 

その陰謀を防ぐために、トト長老は儀式の場に前回の儀式を経験したヨンサ氏族のラルーグからの、〈ルイシャ贈りの儀式〉についての秘密を伝える手紙をもたらせば、侵略を思いとどまる者もいるのではないか、と考え、カッサとバルサにその役目を頼むことになったのである。

 

第四章 〈ルイシャ贈りの儀式〉

1.老ラルーグ

ヨンサ氏族のラルーグは、前回の〈ルイシャ贈りの儀式〉を経験した人物であった。トト長老の来訪でログサム王の陰謀と、ユグロの計画を知ったラルーグは、バルサを連れてカグロのところを訪ねた。そこですべての真実を伝え、ユグロの計画を止めるように忠告する。

 

やがてカッサも呼び出し、バルサとカッサがユグロの計画を止めるために、儀式場へ向かうことをカグロは許した。

 

2.山の底へ

バルサとカッサは、ラルーグの手紙を持って、牧童だけが知る水路を通って儀式場へと向かった。

 

一方ユグロは、山の底での計画に不安を示す現王ラダールを落ち着かせながら、ログサムが生きていたころに、陰謀を持ちかけられたことを思い出していた。ジグロのことをひどく憎んでいたユグロにとって、ジグロを討ち、英雄になれるこの道は、魅力的だった。〈山の王〉を倒し、ルイシャ〈青光石〉を自由に掘り出す、その計画の実行がもうすぐそこまで迫っていた。

 

3.儀式のはじまり

儀式が始まると、カンバル最強の武人を決める闘いが始まった。最後に勝ち残ったのはユグロだった。ユグロが〈山の王〉に向かってカンバル最強の武人であることを宣言した時、儀式場に潜んでいたカッサは、彼らの前に姿を現す。そしてラルーグからの手紙を読み上げた。しかしその途中で、ユグロの槍がカッサを襲った。しかしカッサの腹を突いたはずの槍は、突然の衝撃ではねのけられた。それはバルサの槍であった。

 

トト長老からカッサの用心棒を頼まれたバルサは、カッサを守ると、ログサムとユグロの陰謀について簡潔に〈王の槍〉たちに告げ、カンバル最強の武人を決めるために、ユグロと槍を交わすことになった。

 

4.弔いの槍舞い

ユグロに勝ったバルサは、収まらぬ怒りのままに、ユグロを殺そうとした。しかしそれを防いだのは他でもないヒョウル〈闇の守り人〉だった。そしてそれは、かつての〈王の槍〉ジグロであった。そう、ヒョウル〈闇の守り人〉とは、かつての〈王の槍〉なのである。そしてバルサは亡霊となったジグロと槍舞いをすることになる。

 

槍舞いをする中で、バルサは、ジグロの思いがけない思いを知ることになる。それは、バルサさえいなえれば、ジグロはあんな人生を送らずに済むはずだった、バルサへの憎しみだった。しかしバルサは、ジグロの押し殺してきたその思いを、槍舞いで弔うことに成功する。

 

すると、儀式場にルイシャ〈青光石〉が現れる。しかしどんなに武人たちが手を伸ばしても触ることはできない。なぜならルイシャ〈青光石〉とは、現実の世界と並行して存在するもう一つの世界〈ノユーク〉に住む、大きな透明の水蛇が脱皮した皮だったからだ。そしてその水蛇こそが〈山の王〉なのである。そして見事ラダール王が、ルイシャ〈青光石〉を受け取り、儀式を成功させた時、牧童たちから山の底の秘密を知らされる。こうして〈ルイシャ贈りの儀式〉は終わったのである。