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【小説 感想】江國香織『左岸』に愛と人生を考えさせられる

ボクの大好きな作家の江國香織さん。

今回ご紹介する作品『左岸』は上下巻構成。

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しかも辻仁成『右岸』と対になるストーリーということで、非常に重層な物語。

他の作品以上に愛について深く語られるこの作品は、そのボリューム以上に重く、大きなお話です。

 

1.一人の女の半生を描く、江國香織史上最も大きな物語

『左岸』ではヒロイン茉莉の激動の半生が、上下巻にわたって繰り広げられます。

 

円満に見えたが実は崩壊していた幼少期の家庭、放浪した少女時代、大人になって落ち着いた20代、そしてまた放浪する後半生。

とてもじゃないけど、平穏とは言えない茉莉の人生。

彼女をここまでにした複雑な事情、非情な運命、そして隣の家の祖父江九とのかかわり。

 

概観してみればかなり特異な人生なのかもしれない。

でも細かく焦点を当てれば、ボクらと同じ悩みを抱え、同じように喜ぶ茉莉の姿が見えてきます。

 

読み手が何歳になっても感動を得られる、そんな女性を描き切った江國香織に圧巻です。

 

2.愛は恋じゃない、愛の本質を突く世界観

江國香織の作品にはいつも恋に溺れる女性が出てくるものです。

だいたいそうした女の子たちは、愛を求めて恋に溺れていった結果、またひとつ成長していくのですが、『左岸』は違う。

 

家族や男たち、祖父江九、そして愛する娘とのつながりを通して、茉莉は本当の愛に気付いていくのです

 

その様子に触れたボクら読み手は考えざるを得ない。

愛が意味するものとはなんなのか、人生の深みと味わいとはいかなるものか

 

読み終わった後に、あなたは自分のこれまでの生き方を省みるはずです。

 

3.舞台が醸し出すあたたかさ、博多の町とパリの街

この物語の大きな舞台は、茉莉が幼少期に暮らす博多の町と、娘を連れていくパリの街。

 

もちろん、茉莉の中でこの二つのまちは大きく違うもの

 

博多の町は故郷の香。

くすぐったい思い出と、思い出したくもない過去を併せ持つ町。

パリの街は新しい世界。

自分の意志で、自分の足で踏み入った街。

 

でも共通点もある。

二つのまちは茉莉をあたたかく迎え入れてくれる。

たとえいつ訪れても、必ず受け止めてくれる。

 

そんなまちまで描いてしまう江國香織

彼女の魅力は尽きません。

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