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【小説 感想】上橋菜穂子『闇の守り人』を幅広い層におすすめしたい3つの理由

作家上橋菜穂子さんと言えば、『守り人シリーズ』で有名な作家です。

 

彼女の作品の中でボクが最もおすすめしたい作品が『闇の守り人』。

 

『守り人シリーズ』を読む上でもぜひこの作品から読んでほしいと思います。

『闇の守り人』あらすじ

女用心棒バルサは25年ぶりに生まれ故郷カンバルへと戻る。

かつて人生のすべてを投げうって、自分を育ててくれた養父ジグロの関わる過去を探りに。

そしてあの日、カンバルから逃げるために通ったのと同じ洞窟の中で、バルサは恐ろしいヒョウル〈闇の守り人〉に襲われた兄妹を助けるが……。

そのうちに、バルサは、ふしぎな感覚にとらわれはじめた。夢の中で舞を舞っているような、ぼうっとした心地よさが、身の底から全身に広がっていく。

 

なぜか、向かい合っている相手を、よく知っているような、ふしぎななつかしさがこみあげてきた。

 

(――ばかな。ジグロはもう六年も前に死んでいる。この手で埋葬したんだ)

――バルサ、カンバルへの洞窟にて

その後唯一の血縁者「ユーかおばさん」に会いに行ったバルサ。しかし奇妙にねじれる情報。

やがて、ジグロの過去とカンバル王国が闇に葬ろうとした陰謀、新たなカンバルの野望、そしてジグロの弟ユグロ。複雑に絡み合う怨念と過去をバルサは短槍一つで、切り開いていく。

「……もしかしたら、陰謀は、あなたが知っているより根が深かったのかもしれないわね」

――ユーかおばさん、施療院でのバルサとの再会にて

 

『守り人シリーズ』はどこから読んでも一作で完結

上橋菜穂子さんのすごいところは、複雑な世界観を構築しているシリーズにも関わらず、各巻が一冊の中で完結していることなんです。

 

だからどこから読んでも大丈夫。

 

実際にボクも最終巻の『天と地の守り人』からこのシリーズに入りましたが、全く違和感なく読めました。

 

ですが、やはり後半に行くにつれて物語は複雑化していきますので、ボクはこの『闇の守り人』から読むことをおすすめします。

 

この作品は『守り人シリーズ』の第二作目ということで比較的序盤の作品になります。

 

実は第一作目の『精霊の守り人』では、主人公バルサの素性に関わることの多くが謎のまま物語が終わってしまいます。

 

それに対して『闇の守り人』はバルサの過去を中心に描かれた物語。

 

そのため、『闇の守り人』から読んだ方が、守り人シリーズの世界に入りやすいでしょう。

 

深い情動のぶつかり合いが見どころ

……わたしに、なにができたというんだ?

たった六歳だった、わたしに!

 

……あんたが死んだあとも、わたしは、ずっと、その重荷を負って、生きてきたんだ!

――バルサ、闘技場にて

前作『精霊の守り人』が激しい戦闘シーンや、この世と同時に成立している異世界との関係を中心に描かれているのに対して、『闇の守り人』では、バルサと彼女の過去に関わる人々の深い情動のぶつかり合いが中心となります。

 

このシリーズはハイファンタジーと捉えられることも多いですが、人間ドラマの奥深さも人気な作品です。

 

その面白さが最も良く表現されているのが『闇の守り人』。

 

バルサが怒り叫ぶシーンは鳥肌ものです。

 

独特な読後感、人生観が変わる

身体についた傷は、時が経てば癒える。だが、心の底についた傷は、忘れようとすればするほど、深くなっていくものだ。それを癒す方法はただ一つ。――きちんとその傷を見つめるしかない。

――バルサ、カンバル王国への洞窟入り口にて

 

このシリーズはどれを読んでも心動かされるのですが、この作品は少し毛色が違う。

 

バルサが自分の心に、人生に真正面から向かっていく姿に、ボクたちは自分の人生観をも動かされます。

 

読み終わったあとに、あなたは何を思うでしょうか。

 

たった一冊の本でいろんなことが変わる。

 

これが読書の魅力ですよね。

 

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